[東京 25日 ロイター] 欧州債務問題にネガティブな材料が出ず、マーケットは小康状態だが、あくまでイベント前のポジション調整だとみられている。
今晩のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、米国の雇用市場や住宅価格に下げ止まり感が強まっていることから、量的緩和第3弾(QE3) を示唆するような発言はないとの見方も多い。市場予想を上回る企業決算が多く、金融緩和に支えられた流動性相場から業績相場に移行できるか注目されてい る。
<米住宅堅調でQE3示唆は見送りか>
ようやく米住宅価格が下げ止まりの兆しをみせてきた。2月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数が季節調整済で前月比0.2%上昇と10カ 月ぶりに上昇したことで、市場では「下落基調にあった過去1年─1年半から状況が変化している」(ダイワ・キャピタル・マーケッツの首席エコノミスト、マ イケル・モラン氏)との指摘が出ている。米住宅市場では、販売が持ち直す一方、住宅価格の下落が続き、家計や金融機関を圧迫してきたが、ネガティブ要因が 薄らぐとの期待が強まってきた。
米住宅販売は底堅いとの見方も変わらない。3月の米新築1戸建て住宅販売は前月比7.1%減の年率32万8000戸と4カ月ぶりの低水準と なったが、アナリスト予想の32万戸は上回った。またエコノミストの多くは12月、1月、2月の販売戸数が上方修正されたことに注目している。特に2月は 35万3000戸に上方修正され、住宅減税終了前の駆け込みで押し上げられた2010年4月(42万戸)以来の高い水準となった。住宅在庫は前月比で小幅 減の14万4000戸と、過去最低水準だ。
市場では「米消費者は金融危機以来、萎縮しており、積極的な住宅投資には至らないとみられるが、米経済を圧迫していたネガティブ要因が後退することは重要だ」(T&Dアセットマネジメントのチーフエコノミスト、神谷尚志氏)との声が出ている。
マーケットの関心は今晩のFOMCだ。株や為替、金利だけでなく、コモディティ市場でも「過剰流動性の動向に敏感な金や銀の材料として注目 度が高い」(ばんせい投信投資顧問・商品運用部兼運用部ファンドマネージャーの山岡浩孝氏)という。今回、追加緩和が実施されるとの予想は少ないが、バー ナンキFRB(米連邦準備理事会)議長が会見でQE3を示唆するような発言をするかが注目されている。 QE3があるとすれば、買い入れ対象は住宅ローン 担保証券(MBS)が有力視されているが、「雇用に加え住宅市場が持ち直しており、QE3示唆はなさそうだ」(マネックス証券チーフ・エコノミストの村上 尚己氏)との見方も増えてきている。
<株は買い戻し中心のポジション調整>
前場の日経平均.N225は 反発し、9500円を回復している。業種別では保険や不動産が上位となり、27日の日銀決定会合での追加緩和期待が高まっていることを示しているが、短期 筋の買い戻しが中心でリアルマネーの動きは乏しい。東証1部売買代金は4471億円と1兆円を下回るペースだ。「欧州の政治リスクが懸念されるほか、大型 連休を控え週末にはポジション調整売りも予想される。上値余地は限られそうだ」(大手証券エクイティ部)という。
米アップル(AAPL.O: 株価, 企業情報, レポート) など日米の企業決算発表は堅調なスタートとなっているが、市場では「年初からの株価上昇で、堅調な企業収益はある程度織り込んだ。業績相場への移行には一 段の円安など新たな材料が必要だ」(準大手証券投資情報部)との指摘も多い。米国でも、今週23日までに発表された決算に関するトムソン・ロイターのデー タによると、79%の米企業がアナリスト予想を上回る利益を発表したが、S&P500.SPX株価指数は決算発表の皮切りとなったアルコア(AA.N: 株価, 企業情報, レポート)の前とほぼ同じレベルだ。
株式市場では日銀追加緩和による円安再進行が期待されているものの、為替市場では日銀の追加緩和をかなり織り込んでおり、よほどのサプライ ズがなければ円安に動きにくいとみられている。「日米金融政策の決定結果を受け、ドル/円がどちらかに大きく動くというのは考えにくい」(大和証券チーフ 為替ストラテジストの亀岡裕次氏)という。
<円債には依然強気な見方>
マーケットの慎重ムードは継続しており、円債市場は底堅い動きを示している。リスクオフを巻き戻す動きが入ったとはいえ、国内勢の買いが入 るなど良好な需給環境が続いており、リスクオンの展開には程遠い。日銀の追加緩和観測が浮上している27日の金融政策決定会合をきっかけに、ポジションを いったんクローズする動きが入るとの見方も出ていたが「相場が高値圏のまま、ゴールデンウォークに突入するのではないか」(国内金融機関)として強気な見 通しも聞かれている。
一方、スペインやイタリアの国債利回りが上昇するなど欧州債務不安が深まる中で、超長期債を中心にした国内債券に資金を振り向ける動きが目 立っている。年金給付額の増える2012年問題への対応などで公的セクターの買い余力が減退する一方「超長期ゾーンにおける生保の存在感が増しており、需 給を支える要因になるのではないか」(国内金融機関)という。
むしろ、市場が注目するのは、フランス大統領選の決選投票、ギリシャ総選挙と続く選挙後の欧州債務問題の行方だ。選挙を経て財政緊縮路線が 後退するとの懸念が強まれば、欧州危機が再燃する可能性もある。ドイツ証券・チーフ金利ストラテジストの山下周氏は「欧州債務問題がリスクオフの材料とし て残っている。特に、欧州債務問題がソブリンから金融へのシフトしつつあることが気がかり」と指摘している。